~北九州市立大学ひびきのキャンパスの学生が、北九州市を拠点に活躍されている企業様にインタビューを行い、企業の事業内容や魅力をまとめた取材記事を作成しました~

私たちが取材しました📝✨
【話し手📢】株式会社しろみず 代表取締役社長 田中正秀さん、 総務部 伊藤源一郎 さん、設計部 末松拓也 さん
【聞き手🎤】北九州市立大学 国際環境工学部3年:T・Aさん、N・Rさん、M・Uさん

企業プロフィール🏢✨
 株式会社しろみず(所在地:北九州市若松区北浜2丁目4番1号)は、1921年創業、1931年設立と約100年の歴史のある企業です。代表取締役社長は田中正秀さんで従業員数100名、北九州に本社工場を設け東京にも支店を構えています。各種タンクや圧力容器を主に製作しておられますが、設計・製作・品質管理・現地据付、建設されたタンクの検査・補修工事等も一貫して担っています。タンクの機種によりますが国内シェア1位のものもあり、タンクに関するノウハウ(設計機能)を保有しており製造の各工程に対応できることからタンクの「ニッチトップ企業」と言われています。また、若松区が若松の創業100年を超える企業を紹介するために制作している広報誌である若松レガシーに2023年3月に掲載されました。さらに、2023年5月には北九州市のSDGs登録制度に登録され、FBS福岡放送の『PASSION~情熱人』で紹介されました。また、「自分たちの街は自分たちできれいにしよう」という目標を立てて工場周辺や若松北海岸、”クリーン北九州”まち美化キャンペーンの清掃への積極的な参加や花火大会、港まつりの協賛など地域への社会貢献にも力を入れて取り組まれています。

若松区にある本社全景
新成型機を導入した工場
主力製品の球形タンク

質問1】社会的な役割や使命とは何とお考えでしょうか?
 近江商人の言葉である「三方よし」だと考え、それを掲げております。三方とは、売り手・買い手・世間のことであり、競争ばかりで競争に負けてしまうと会社はつぶれてしまいます。そうならないためにまず買い手である顧客の方々のためになることをすることで顧客の高い評価を得てまた買っていただけて、売り手は仕事をもらうことができます。タンクの設計でお客さまの要望によっては、想定以上の時間や労力を費やす必要があるかもしれません。その時間や労力を惜しまずにお客さまに満足していただけるように努めています。また、タンクはものを貯めることで需要と供給のアンバランスを吸収する機能を持ち、世の中のシステムをより合理的にすることができタンクの存在そのものが世間よしになります。この結果、自然と世間、買い手、売り手よしとなっていくのです。

質問2】他の企業と比べて、技術的な優位点は何とお考えでしょうか?
 設計からメンテナンスまで一貫して行っている点です。弊社はタンク製造においてノウハウ(設計機能)と各製造工程に対応することのできるニッチトップ企業です。タンクに対する特別なノウハウ(曲げの技術)などを持っているため、長年の経験を活かしお客様と時代に合わせたご要望に応じて磨き上げ続けている技術はほかの企業と比較しても優位点であると考えております。また、現状に満足することなく新しい技術や知識などを積極的に取り入れて企業としても企業で働く技術者としても成長していくことができると考えています。

質問3】若い技術者に期待していることは何でしょうか?
 今まで100年生きてきて今後も100年生きていける市場がある中で、若い技術者には厳しい坂道の方を選んで歩いていって欲しいです。厳しい坂道を選べばもちろんきついし失敗もします。それに比べて緩やかな坂道を選ぶと失敗することもなくきつくもないです。だからといって厳しい道を選ばないのではなく、敢えて厳しい道を選んでチャレンジすることを選んで欲しいです。そして、努力を積み重ねてたくさん失敗して、反省、再発防止を繰り返すことで成長していって欲しいと考えています。”力を尽くして狭き門より入れ”

質問4】社員の方が働きやすい職場づくりのためにどのような取り組みを行っておられますか?
 社員が意欲的に働くことができるにはどうしたらいいかを考えています。例えば、改善表彰といって、いい改善案を出した人には表彰・賞金を行う制度を設けています。また、思わぬ失敗をしても失敗した人が中心となりなぜ失敗したのか原因を一緒に分析し再発防止に向けて対策も一緒に考えるようにしています。その際に、失敗を責めるのではなく改善することが大事であるため、しっかり失敗を話せる環境作りを大切にしています。また、自社では一貫した生産体制のため、社員のコミュニケーションが非常に重要です。そのコミュニケーションが円滑にとれるように会社全体で意識しています。

質問5】タンクにスイカのデザインが描かれているなど、タンクにデザインされているものがありますが、それはしろみずさんが行っておられることでしょうか
 タンクに絵が書いてあるのは、タンクをモニュメント化するためです。お客さまの要望に応えて、その土地にあったデザインをすることもあります(千葉ならスイカ、福島ならももやりんごなど)。そのようなデザインも、設計からメンテナンスまで一貫しているから出来ることであると考えています。また、球形タンクに絵を描くことは非常に難しいですが、シミュレーション機器などを用いて近くからでも遠くからでも様々な角度からでもきれいに見えるようにデザインして設計・建設することを心がけています。

質問6設計からメンテナンスまで一貫して行っていくうえで重要なことや利点は何でしょうか?
 一貫して行ううえで重要なのは、それぞれの部署がいかにコミュニケーションを取れるかということです。また、一貫していることにより、各部門の最適な案だけでなく、全部門の会社全体としての最適な案(お客様にご要望に対する最適な案)をお客様に提示することができます。加えて、部門が会社ごとだとお客様がそれぞれの会社に聞きに行く必要があるため解決までに時間がかかりますが、弊社はその手間がないため早期に問題を解決することができます。また、設計者としては設計図が実際にタンクとして出来上がる過程、完成形がみられることで仕事のやりがいを感じることに繋がっています。

学生インタビュワーの編集後記 ~お話をお伺いした感想~✨
 タンクのことなら「しろみず」。長年の経験だけではなくお客さまに対する考えが素晴らしいと思いました。そして、一貫した経営体制を取り、お客様の依頼や要望に会社全体が全力で答えているため、多くの信頼を集めるのだと感じました。しろみずさんは歴史のある企業で技術伝承を大切にしつつ、現代に合わせた一部の作業のオートメーション化などの新技術も取り入れているのです。タンクの需要は絶えない、また「しろみず」の需要も絶えることはないだろうと思いました。

株式会社しろみずのみなさんと取材班